コレステロールの働きとは

コレステロールの働きとは

コレステロールの本来の働きを教えてください :執筆者 K.T先生

コレLABO運営者:サイトをご覧になっている皆さんにまずはコレステロールを知ってもらいたいと思います。そこでコレステロール本来の働きについて教えて頂いてもよろしいでしょうか。

K.T先生:働きの前に、まずはコレステロールのルーツである『ステロイド』からご案内します。 コレステロールは、『ステロイド』と呼ばれる化合物に分類される化学物質です。
ステロイドは正確には、ペルヒドロシクロペンタノフェナントレンという独特な形をした化合物によって構成される物質の総称で、『胆汁酸』『ビタミンDの原料』などもステロイドの仲間です。

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ペルヒドロシクロペンタノフェナントレンの形。
亀の甲羅が、4個くっついたような形をしています。左下から順番にA,B,C,Dと名前が付いています。
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ステロイドファミリー。
胆汁酸やビタミンD原料、植物ステロールなど、全てステロイドです。

少し専門的なお話しになりますが、亀の甲羅Aの左下に『ヒドロキシル基』という化合物が くっつき、亀の甲羅Bの左下の部分が『二重結合』(Q8の解答・解説にて後述)となり、そして 亀の甲羅Dのてっぺんにも『化合物1』がくっついたものが、コレステロールの正体です。
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コレステロールの構造。
元となるステロイドに、いくつかの化合物が くっついてコレステロールを形成する。

もうひとつ、胆汁酸もご紹介します。
胆汁酸の代表物質であるデオキシコール酸は、亀の甲羅Aの左下に『ヒドロキシル基』、亀の甲羅Cにも『ヒドロキシル基』、さらに亀の甲羅Dのてっぺんに『グリシン』がくっついたもの です。コレステロールのような二重結合はありません。
おわかりのように、ステロイドの骨組みにちょっとした修飾を加えることで、様々な物質が生まれます。
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デオキシコール酸の構造。 元となるステロイドに、ヒドロキシル基が2個
と、グリシンがくっつく。

さて話しを本題に戻しますが、ステロイドからできあがったコレステロールは、主に脂質の運搬に係わります。脂質はご存知の通り、エネルギーの源です。 脂質はタンパク質と複合体を形成し『リポタンパク質』と呼ばれますが、このリポタンパク質にコレステロールは組み込まれ、運搬に携わります。
それは、エネルギー源として脂肪組織 に貯蔵されることもあれば、エネルギーとして使われる為に筋肉に運ばれることもありますし もしくは、たった今腸管から吸収されて肝臓に向かう途中の事もあります。
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□リポタンパク質の構造。 内部にコレステロール、脂質、タンパク質を含む。
○コレステロール タンパク質
△脂質

善玉と言われるHDLや悪玉と言われるLDLというのを聞いたことがあるかと思います。厳密 には、HDL、LDL、IDL、VLDL、キロミクロンに分類されます。これは、前述のリポタンパク質に含まれるタンパク質やコレステロールの割合、またリポタンパク質の大きさによって呼び方を 変えているだけで、厳密にHDLやLDLと言う化合物が存在するわけではありません。
大きさはHDLが最も小さく、キロミクロンで最大となります。また含まれるコレステロール量 はLDLで最も大きくなり、トリグリセリド(=TG=トリアシルグリセロール=中性脂肪:後述)の 含有量は、キロミクロンで最も大きくなります。
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各リポタンパク質の特徴

冒頭で、コレステロールはステロイドファミリーの一員であることを述べました。構造が似ているということは、コレステロールは同じステロイドファミリー内の物質に変化出来る(変化させ易い)ということです。
生体では、コレステロールを原料とし、胆汁酸やステロイドホルモンなどを生成できるため、 前述の脂質の運搬に携わる他、こう言った消化酵素やホルモン代謝にも係わります。
また、最も大事な機能は、細胞膜を構成している点です。詳細は省きますが、細胞膜はミセルという構造を保っており、これにより生理活性(生きているということ)を得ています。このミセル構造を保つ上で、コレステロールは無くてはならない存在なのです。

悪玉コレステロールと善玉コレステロールの違いについて

コレLABO運営者:次にお聞きしたいのが、コレステロールを学ぼうとすると確実に出てくる2つの言葉「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」があります。この2つのコレステロールの違いは一体どこにあるのでしょうか?教えてください。

小暮先生:脂質には、実はいくつかの種類がありますが、よく耳にする悪玉・善玉コレステロールにしぼって説明します。悪玉コレステロールは、LDLコレステロールのこと。低比重リポ蛋白と言います。本来は全身の細胞を作り出すための材料やエネルギーの源を運んだりする重要な働きがあるので、体に必要不可欠な面もあるのです。ですが、必要量以上の余分なコレステロールがあると、体に溜まって動脈硬化などの悪影響を及ぼす事があります。飽食の時代である現代では、LDLコレステロールが不足する事態を見る事は殆ど無くなって来たため、血液中の高すぎるLDLコレステロールによる弊害に注目が集まって「悪玉」と呼ばれています。
善玉コレステロールは、HDLコレステロールのこと。高比重リポ蛋白といいます。善玉と言われるのは、血管壁や組織にある一部のコレステロールを肝臓へ戻す働きがあるためです。血液中のコレステロールを肝臓へきちんとしまってくれるため、その結果動脈硬化を予防する働きがあると言われています。


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